更新履歴

12/3/23 ネウロ「夜の観覧車」(笹ヤコ/原作沿い/シリアス)UP

サイト説明

MADO|ぷよぷよ・魔導物語(シェゾ×アルル中心)
NEURO+Others|魔人探偵脳噛ネウロ(笹塚×弥子、ときどき他ヤコ受)その他ジャンル、オリジナルなど
MEMO|日記だったり更新履歴だったり告知だったり
OFF|同人活動案内(シェアル小説本、笹ヤコ小説本、DF3本など出してます)
LINK|自分用ブックマーク
INDEX|このページ。下部の365題で好きなもののSSをざっくり書いています

もろもろ諸注意

・個人の非公式ファンサイトですので、原作者・版権元とは一切関係がありません。
・無断転載などはご遠慮ください。
・キリ番は一万単位か下五桁ぞろ目です。取り扱いジャンル内でお願いします。
・誤字脱字やデッドリンクの指摘などは大歓迎です!

サーチ

(GC)GAMEHA.COM - ゲーム派ドットコム

恋愛ガーデン

魔界検索事務所

応援・参加

365題

※色んなジャンルのSSSを気まぐれに。更新履歴には載りません。
342/365 ログ

12.4.20【229.ステーション/Ib/ギャリー+イヴ(Aエンド後)】
 金曜五限の授業が終わる。教授の話が長引いたせいで、いつもの時間より十分遅れていた。ギャリーは軽く舌打ちをして、荷物をまとめて立ちあがる。――そんな彼のコートの裾を、級友が掴んだ。
「ギャリー、もう帰っちゃうの?」
「帰っちゃうの。予定があるのよ」
「ええーっ、一緒に夕飯食べようぜ」
「聞こえなかった? 予定があるのよ、予定が。また今度ね」
 あくまでもおどけた口調で、それでもさらりと裾を掴む手を払ったギャリーに、友人は唇を尖らせる。
「お前さあ、最近付き合い悪くなったよな」
「……そうかしら?」
 首を傾げてみせるギャリーに、友人は大きく頷く。
「そうだよ! 麻雀にも付き合ってくんないしさあー、授業が終わったらそそくさと帰っちゃうしさあー、オレの課題も手伝ってくんないしさあ!」
「あんた、最後の文句が言いたかっただけじゃないの? 課題くらい自分一人でやんなさいよ」
「う……いやまあそういうのもあるんだけど、そうじゃなくて! オレが聞きたいのはですねえ、付き合いが悪くなった原因なんですよ! 原因!」
「なに? なにが聞きたいのよ」
「正直に言って。ギャリーさ……」友人はちょっとにやけながら、
「カノジョかカレシ、できた?」
 ――真っ正面から切り込んできた。
「……なによ、カノジョかカレシって」
「だってギャリー、どっちが恋愛対象かわかんねーんだもん……とにかく、誰かと付き合い始めたんじゃないの? みんな言ってるよ」
「あんたたち、ヒマねえ」
「ギャリーが人気者なんだよ! で……どうなの? いま急いでるのもさ、誰かと待ち合わせしてるんじゃないのー?」
 からかう気満々、おもちゃにする気満々の笑みだ。やれやれ、どうしたものか……ギャリーは正直に言おうかどうしようか一瞬ためらって、――からかい返すことに決めた。
「……ナイショにしてくれる?」
「もちろん!」
 顔中に「好奇心!」と書いてある友人。そんな彼に顔を思いっきり近づけて、意味深な笑みを浮かべてみせる。
「え……」ちょっと近くないか、そんな風に目で訴えてきても、ギャリーは退かない。さらに顔を近づけ囁く。
「カレシでもカノジョでもないの……でも、大事なヒトとの待ち合わせなのよ」
「あ、そ、そー……なんだ?」
「アタシが来るのを待ってるのよ――ご・主・人・サ・マ、が」
「ご、ごしゅじんさま!?」
 びくんと体を強ばらせる友人から、ギャリーはするりと体を離す。妖艶に微笑んで、軽く手を振った。
「じゃあ、また来週。課題は自力でやりなさいね?」
「は、は……はい」
 目をぐるぐる回してあれこれ想像している友人を置きざりにして、ギャリーは急ぎ足で駅へ向かった。彼女が、待っている。


 人混みの中、彼女の姿はすぐに見つかった。時折ちらちらと周りをうかがって、それから腕時計に目を落とす。幼い顔に一瞬不安がよぎったのが見えて、授業の途中で抜け出してくるべきだったと後悔した。
「――イヴ!」
 名前を呼ぶ。イヴはギャリーの声が聞こえた瞬間、ぱっと顔を上げた。あいだにいるたくさんの人の姿など見えないかのように、まっすぐにギャリーだけを見つめる。
「ごめんなさいね、待った?」
 詫びると、イヴはふるふると首を横に振る。イヴはいつもギャリーよりも早く駅に着いているから、今日は20分近く待っているだろう。けれど文句のひとつも言わない彼女の頭を、ギャリーは優しく撫でてやった。
「……?」
 赤みががった瞳が、不思議そうにギャリーを見つめる。ギャリーはその瞳に応える代わりに、すこし冷えた小さな手を取った。ぎゅっと握ってやると、イヴは嬉しそうに表情を緩める。
「今日はどこに行きたい?」
「……マカロンのお店」
「また? こないだも行ったじゃない」
 反射的にそう返事をしたギャリーを、イヴはじっと見つめてくる。その視線が、ギャリーはすこし苦手だ。
「おいしかったから、また行くの」
「はいはい。わかったわよ」
 彼女に名前を呼ばれると、彼女に見つめられると、どうにも断れないし逆らえない。彼女がしたいことをやらせてあげたくなってしまう。これじゃあまるで従僕だ。ギャリーは溜息をつく。
「あんたはとんだ暴君ねえ」
「……ボウクン?」
 ちょこんと傾いて疑問の意思表示をするイヴの頬を、ギャリーは軽くつねってやる。
「可愛いって意味よ」
 彼の言葉に、幼い「ご主人様」は大きな瞳でぱちくりとまばたきをする。その表情は年相応にあどけなくて、ギャリーは柔らかく笑みを零した。